「原油価格が1バレル=150ドル前後になれば、何もしないとガソリン代は1リットルあたり200円程度に上がる試算です」(岩間さん)
住友商事グローバルリサーチの本間隆行チーフエコノミストもこう言う。
「いまは円安が進み、1バレル=150ドル前後になれば、ガソリン価格1リットルあたり210~220円もありうる」
電気代やガス代の値上がりも続く。電気代やガス代は、燃料である原油や天然ガスの値段が反映されるのは3カ月以降となる。4月分までの値上がりはすでに決まっている。いまウクライナ情勢が落ち着いたとしても、足元の相場の状況は半年程度にわたって影を落とし続ける。
今回の危機が起きるまでにも、値上がりは続いてきた。コロナ禍で落ち込んだ経済活動が回復し、需要が急に盛り返したことで原材料価格も上がったからだ。供給網(サプライチェーン)の混乱や物流費の上昇も手伝い、コストを削り切れずに価格へ転嫁する動きが相次ぐ。
「今まで我慢してきた分が一気に噴き出した面もあるでしょう」(「たつみチェーン豊洲店」の村松義康店長)。小麦の価格も14年ぶりの高値をつけた。日本はウクライナやロシアからの輸入はないが、国際価格の高騰でパンやめん類はさらに値上がりしそうだ。
コチョウランを栽培する有限会社花匠の川口正・代表取締役は言う。
「植木鉢や支柱、フィルムのほか暖房費用も上がり、昨年に比べ全体的に1割くらい負担は増えました。仕入れの時期をずらしたり、安い資材に替えたりして対応していますが、これ以上値上がりすると経営も厳しい」
トウモロコシなど飼料代も上がり、動物園も苦しむ。大内山動物園(三重県大紀町)の中村みゆき副園長は「伝書鳩やレース鳩にあげるエサ代が倍くらいになりました」という。しろとり動物園(香川県東かがわ市)の松村智樹専務も、「急激な値上がりはありませんけど、何カ月前から『これだけ上がります』という通知が来ます。エサは減らすわけにもいきませんから、対策のしようがない」と途方に暮れる。