血圧が高めな場合にも、サウナは有効だ。加藤医師によると、サウナは主に心臓血管系に大きな健康効果をもたらし、血圧を下げる効果もあるという。

「ただし、高血圧の持病のある人の場合、ある程度コントロールができている状態であることが大切です。事前に医師に相談してから入りましょう」

 サウナ大国であるフィンランドでは、すでに50年にわたり、サウナの調査研究が進んでいる。サウナの病気予防効果の明確な医学的根拠(エビデンス)も出そろっているという。

「フィンランドの疫学調査(6万人を対象)で、サウナに週1回入る群と週4~7回入る群を比較した結果、週4~7回入る群では心筋梗塞の発症リスクが50%強低減しており、認知症の発症リスクも60%強、統合失調症などの精神科疾患の発症リスクも70%強低減したというエビデンスが出ています」

 ちなみに、フィンランド式のサウナはウェットサウナで、低い温度でも湿度が高いので体感温度は高く感じる。日本のサウナ施設の主流はドライサウナだが、ウェットサウナは深部まで温まりやすく、ととのいやすい。加藤医師のおすすめはフィンランド式サウナだという。

 このように、いま現在の心身の不調に効くだけでなく、将来的な病気予防効果にも優れているサウナ。ぜひ、これらメリットや注意点も参考にしながら健康習慣に採り入れていただきたい。

(文/石川美香子)

○加藤容崇(かとう・やすたか)/ 日本サウナ学会代表理事・慶應義塾大学医学部特任助教。1983年、群馬県生まれ。北海道大学医学部卒。専門はがんの遺伝子検査とがん(主に膵臓がん)研究。第二の専門は予防医療としてのサウナの研究で、日本サウナ学会を2019年に設立。株式会社100plusも設立し、サウナ室内混雑リアルタイム表示システム&アプリ「サの国」(22年5月公開予定)や「ととのう」を数値化するデバイス・アプリを開発している。著書に『医者が教えるサウナの教科書』(ダイヤモンド社)などがある。