このように、思わぬところで収益が無効になる可能性があるのが、YouTuberです。最近では、登録者数57万人の「コヤッキースタジオ」は、都市伝説にまつわる動画の収益に広告制限がついていると説明していたり、筋肉系YouTuberの「芳賀セブン」が性的コンテンツとされたと報告しています。日々変化するYouTubeやGoogleのルールを正確に把握していないと、広告収益で生活していた場合、ある日突然、無収入になってしまうのがYouTuberの危うさです。プラットフォーマーのルールには、絶対に逆らえないという弱さがあります。
次に、社会的信頼についてです。YouTuberは、企業に勤めている人々と異なり、収入の後ろ盾となる存在がいません。そのため、賃貸の契約が通りにくかったり、銀行からの融資を渋られます。私の周りでも、私自身も、賃貸や融資の審査を断られたことが何度かあります。私の場合、YouTubeの事業を法人化しており、撮影所として物件を購入するため、5年以上法人として取引のあった銀行に融資を申し込んだところ、審査に落ちました。理由は、取引先であるGoogleとの契約書がないからです。YouTuberは、GoogleやYouTubeから依頼されて動画を制作しているわけではありません。自分たちで勝手に作った動画を、プラットフォームにアップロードして、収入を得ています。そのため、「収入源となる取引先との契約書」がありません。銀行にとっては、「来年無収入になるかもしれない会社」と判断をされます。事実、YouTuberの広告収益は不安定なもので、プラットフォーマーであるGoogleやYouTubeがルールを変更したり、広告収益の分配額や単価を変更した場合には、すぐに収入が乱高下する職業です。
さらに、YouTuberは人気商売であるために、今年の業績を来年も維持できるか、は誰にも測れない指標です。音楽ゲーム配信者の三田皓介さんは、「様々な過ちや悪事が暴露される」ために突然の引退を発表しました。芸能人も、プライベートでの行動が原因で引退や休業するケースがあります。炎上リスクもYouTuberという職業の脆弱性の一つとして挙げられます。
このように、YouTuberという仕事は、さまざまな面で不安定な職業です。将来も収入が持続するという保証がないため、一時的に稼げても浮かれることはできません。広告収益に頼らない収益源を確保したり、他の職業に応用できるような技術やスキルを身につけたり、貯蓄や投資をして資産や収入源を増やしたり、早めに一生分の収入を稼ぎきるなどのリスクヘッジが重要です。