開腹手術が決まった後に、腹腔鏡を使った手術など、別の方法があることを知り、転院を考え始めることも。
「そのように決めても、主治医の機嫌を損ねてしまうのではないか、などの理由で『言いにくい』と相談をしてくる人が多いです」(北見さん)
多くの病院では、がんの診断と同時に手術日を決められてしまうことが多い。たいていの患者は驚き、
「こんなにすぐに決まるのってよくあることですか? 私、そんなに悪いんでしょうか?」
「がんだったら、他の病院でと思っていたけれど、急いで手術が必要ということなら、このまま今の病院で受けたほうがいいですか?」
などと電話をしてくる。さらに21年はコロナ禍の影響から、「また感染が拡大したら手術ができないかもしれない。今、このタイミングで手術をしたほうがいいのでは」という相談も寄せられているという。
また、診断の結果によっては、「残念ながら手術はできない」と言われ、納得できずに、「本当にできないのだろうか? できる病院を探したい」と相談をしてくる患者も。本来ならさまざまな治療の選択肢があるはずなのに、病院選びがそのまま治療法選びに直結してしまうこともまれではない。
そこで、編集部では、「病院を変えたい」というがん患者の悩みをよくあるケースを中心に、四つに分類。専門医に質問をした。その答えは結論から言えば、「病院を変える勇気は持つべきであり、そのための行動をするべき」となる。本稿では4つのうち1つのケースを取り上げ、患者の具体的なケースとともに、対応する医師の生の声を紹介するので、参考にしてほしい(ほか3つのケースは『いい病院2022』をご参照ください)。
CaseA ほかの病院なら手術できるか探りたい
膵がん ステージIII 75歳女性
長引く腹痛で検査を受けたところ、膵がんが判明。ほかの臓器には転移していないが、ステージIIIで「この状態では手術ができない」と言われた。この病院が手術できないのか、どの病院でも手術できないのか、わからない。もしほかの病院で手術できるところがあるならば、家族の協力も得て、病院を探したいと考えている。