
週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。また、実際の患者を想定し、その患者がたどる治療選択について、専門の医師に取材してどのような基準で判断をしていくのか解説記事を掲載している。ここでは、「腎がん手術」の解説を紹介する。
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腰の上あたりの背中側に、左右に1個ずつある腎臓。ソラマメの形で、大きさは握りこぶしに満たないくらいだ。腎臓は、流れ込む血液をろ過して尿をつくり、体内の老廃物を排泄させる、カリウムやカルシウムなど、体内のミネラル(電解質)や水分の量を調整する、血圧を調整するなど、さまざまな働きをもつ。また心臓や脳血管などの循環器系の機能維持にも、重要な役割を果たしている。
腎がんはこの腎臓に発生するがんだ。通常は、2個ある腎臓のどちらか1つに発生する。左右の腎臓に多発するものもあるが、遺伝的要因が強く、きわめてまれとされている。
50代から罹患者が増え始め、年間の新規罹患者数は約3万人(2018年がん情報サービスのデータ)。男性と女性の比率は約2対1で、なぜ男性に多いのかは、まだわかっていない。
血尿や腹痛・腰痛などの自覚症状が出るのはがんが進行してからだ。最近は、ほかの疾患の検診や人間ドックの超音波検査で、無症状のうちに初期に偶然見つかるケースが増えてきている。
治療の基本は手術で、がんができたほうの腎臓全体を切除する「腎摘除術」と、がんとその周辺のみを切除する「腎部分切除」から選択しておこなわれる。2016年に、ロボット支援下手術が腎部分切除について保険適用となってから、部分切除はロボット手術が主流になりつつある。
がんを根治させることが治療の目的ではあるが、「人生100年時代」を迎え、治療後のQOL(生活の質)を左右する腎機能の温存をいかに図るかが、腎がん治療においてもクローズアップされてきている。