1988年の中日は星野仙一監督の下で4度目のリーグ優勝を成し遂げた。前年の1987年ドラフト1位でプロ入りした立浪は「2番・遊撃」として開幕戦フル出場を果たし、その後もオールスターゲーム出場など期待に違わぬ活躍で新人王とゴールデングラブ賞を獲得。ルーキーながらチームの優勝に貢献した。また本拠地最終年となった1996年は巨人・長嶋茂雄監督の名言「メークドラマ」が完結したシーズン。首位と最大11.5差のゲーム差をひっくり返しリーグ優勝を決めたのが、10月6日にナゴヤ球場で行われた1軍公式戦最終試合だった。その試合で立浪は川口和久のストレートに手が出ず見逃し三振に倒れ、最後の打者となった。
「立浪監督就任とともに多くの思い出が蘇ってきた。現役時代の映像はナゴヤ球場時代のものがよく使われますから。1996年10月6日はファンにとっては悔しい体験だった。しかし星野監督のスピーチもありナゴヤ球場がより記憶に残った。バンテリンドームがそれ以上のインパクトを残すには相当なことがないと難しい」(名古屋在住スポーツライター)
「来年ドームで出直します。ありがとうナゴヤ球場。世界一のスタジアムだと思っています。今までナゴヤ球場を愛してくださった皆さん、また来年、ドームでお会いしましょう」(星野監督)
長嶋監督の胴上げを見届けた後、セレモニーで語った言葉は忘れられない名シーンだ。
バンテリンドームがナゴヤ球場と同じようにファンに愛されるにはまだ時間が必要だろう。そこで欠かせないのがやはり中日が強くなること。近年低迷しているチームの再建を任された立浪監督就任のタイミングでナゴヤ球場にスポットライトが当たるのはある種の必然かもしれない。温故知新。古き良き歴史を胸に刻み、強竜打線復活、そして中日の躍進を期待したい。