──時期としてまだ早かったと。
そうですね。連合としては、昨年10月に実施された静岡での参院補選で、立憲、国民、連合の三者が一緒になって闘って勝利したことが大きかった。参院選もそういう形を目指したかった。
──芳野会長は2月17日に、立憲や国民など連合系議員28人による懇談会立ち上げの会合であいさつした後、自民党の小渕優子組織運動本部長と会食しています。
記事によっては、突然決まったかのように書かれていましたが、日程はずっと前からこの日に決まっていました。「女同士で……」というように書かれていましたけど、本来は連合の事務局長も出席する予定でした。
自民党の組織運動本部には連合の窓口をしていただいており、過去も話をしてきたので、今回が特別ではありません。
──国民は政府予算案に賛成しました。
各政党の決定に関するコメントは控えますが、連合としては政策実現はいつも是々非々です。ただ、自民党は経営者の支持者が多いので、連合も自民党を支持すると、政治に緊張感が失われます。連合として自民党を支援・支持するというのは、別の話だと思います。
──連合が自民に寄っているのではなく、自民が連合に寄っていっている。
こちらとしては、自民党との距離を変えたという認識はありません。連合は、毎年、共産党を除く主要政党との間で、政策・制度に関する意見交換や要請を行っています。そのような点からは、他の政党と同じです。
──連合は正社員の利益だけを考えているとの批判もあります。
これまでも非正規雇用の方の組織化は推進してきたのですが、外部の方からそう言われるということは、まだまだ足りないんだと思います。私としては”全集中”で取り組んでいきたい。
──連合会長として実現したいことは何ですか。
JUKIで組合活動をしていた時、女性の制服は貸与だったんです。ただ、リボンとベルトは傷みやすく、従業員が自分で買い替えることが多かった。そういった女性たちの意見を日常会話の中で聞いて、労組としてリボンやベルトも貸与項目に入れるよう要求し、実現しました。
これが私の組合運動の原点。だから、就任のあいさつでは「労働組合の活動はボトムアップ」と呼びかけました。どんな状況になっても、労働者の生活が守られるセーフティーネットを整備して、夢と希望のある日本をつくっていきたいですね。
(聞き手/本誌・西岡千史)
※週刊朝日 2022年3月25日号