米・ハーバード大学とジュリアード音楽院を卒業したバイオリニストの廣津留すみれさん(28)。現在はコンサートなどの音楽活動を行いながら、日本の大学でグローバル人材を育成するための授業も受け持っている。廣津留さんの頭の中を探るべく、どんなふうに音楽や勉強とかかわってきたのかを語ってもらうAERA dot.連載。第4回は、ハーバード大学の入学当時について。
【写真】48時間でつくりあげたハーバードでのミュージカル公演
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大分県の県立高校からハーバード大学へと進学した廣津留さん。誰も知り合いがいないなかでの初めての海外生活は不安になりそうなものだが、「実際は孤独を感じる暇もなかったんです」と振り返る。
「ハーバードに入って新鮮だったのが、社交的であることがすごく重要視されていること。学生の間で『ハーバードでは学業、社交、睡眠のうち、2つしか同時に手に入らない』というジョークがあるんですが、これは冗談じゃなくて、真実です(笑)。みんな睡眠を削ってでも社交に時間を割いていて、人との関わりをすごく大切にしています。最初のオリエンテーションで学生生活中のパーティーについて説明されるほどで、それまでの交友範囲が大分の学校だけだった私にとっては、『こんなに人と会うんやあ……』と圧倒されました。ハーバードにいるうちに1人でも多くの友達を作りなさいっていう、大学側のメッセージなんだと思います」
■入学する前に友達ができる
そんなハーバードからの“メッセージ”は入学前から始まっている。出会ってまもない学生たちと、わずか48時間でオリジナルのミュージカルを作り上げたという。
「入学前に1週間程度のオリエンテーションがあって、自分でプログラムを選ぶんです。アウトドアやボランティア、インターナショナルの学生向け、アルバイトをしたい学生向けの寮掃除(ドームクルー)など、いくつかの選択肢があり、私が選んだのはアートのプログラム。演劇や音楽の経験者とか、美術やミュージカル、スタンドアップコメディ大好き!みたいな学生が60人くらい集まるんですが、残り3日ぐらいのタイミングで、先生から突然『さぁ、今からみんなでミュージカルを作ってもらうからね』と言われるんです」