1テイク目でボロ泣き
――気づくと、カメラの前で素直に感情を出せるようになっていた。今まではどこか「型」で演じていたのだと感じた。それは俳優としての大きな成長を予感させる変化だった。
中島:撮影中盤あたりからワンテイク目でボロ泣きしちゃう現象が起き始めました。泣くシーンは、理論じゃどうにもできない。でも、今回は感情が抑えられない状態がずっと続いた。撮り終わって倒れこんでしまったこともありました。監督やスタッフさんなどにスタジオの外で介抱していただいたんですが、こんなに体を削って演技をしたのは初めてです。
今までの自分の感覚はすごく硬かったんだろうなと思います。監督が心の中の塊みたいなものを揉みほぐしてくれて、晴人を見つけさせてくれた。僕のお芝居の弱点や、これから必要なこともすべて見つけてくれました。感謝しかありません。
――晴人はカメラマンとして成長するなかで、写真の良しあしは撮り手がどんな思いを込めるかで決まることを知る。自身が活動に込める思いとはどんなものなのか。
中島:世界的にはネガティブな現象もいろいろと起こっていて、とても怖い思いをしている人々がいる。僕らはエンターテインメントを通して思いを伝えていく立場だけど、準公人という社会的な影響力を持った人間として、さまざまなことに意識を向けていると発信することも大切だと思っています。そして、常に向上心を持つこと。共演した(松本)穂香さんも「一緒にいたら向上心を持てる」と言ってくれて、すごくうれしかった。
自分がハリウッドスターにいつも元気をもらっているように、ファンの方たちや映画を見るすべてのお客さんにとって、そういうムービーアクターでありたいと思っています。日本の作品が世界の作品になる時代がやってきている。僕も世界中の人に、役名や作品名で呼ばれるような、日本人の希望になるような存在になっていきたい。そういう志を持ってこの作品にも取り組んできたつもりです。