代表戦での活躍が期待される南野拓実(リバプール)
代表戦での活躍が期待される南野拓実(リバプール)

 いよいよ決戦の時をむかえる。サッカーのワールドカップ(W杯)・カタール大会アジア最終予選が行われており、日本代表は24日、敵地でオーストラリア戦に挑む(日本時間18時10分開始)。日本が勝てば、本大会への出場権を得られるが、グループ屈指の強豪を相手に厳しい試合が予想される。招集メンバーには海外で活躍するリバプール(イングランド)の南野拓実や、セルティック(スコットランド)の旗手怜央らが選ばれた。他にも注目の選手は多い。成長著しいそんな彼らの“市場価格”はいくらなのか。さらに今後、価格を高めそうな選手は誰か――。

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 市場価格はドイツの移籍情報サイト「Transfermarkt(トランスファーマルクト)」を参照した。価格は3月22日調査時点の数字で、今後の活躍次第で市場価格が大きく変動する可能性はある。W杯を前にどんな選手が注目されているのか、指標の一つになる。

 今回代表に招集されたメンバーのなかでランキングトップになったのは、名門リバプール(イングランド)の南野拓実(27)。市場価格はおよそ15億8千万円だった。圧倒的なスター選手を抱えるリバプールではベンチスタートになることが多く、移籍の噂も後をたたないが、俊敏力を生かした攻撃力には定評があり、いまや日本を代表するストライカーの一人だ。オーストラリア戦でもどのような活躍をするか注目が高い。

 2位はシュツットガルト(ドイツ)の遠藤航(29)で約13億2千万円。3月に入ってからのクラブでの活躍は攻撃に守備に目をみはるものがあり、好調を持続している。

 3位は、今大会に限らず日本代表の将来を背負って立つであろうマジョルカ(スペイン)の久保建英で、弱冠20歳ながら約11億8千万円となっている。現在は期限付きで世界屈指の強豪レアル・マドリード(スペイン)からマジョルカに移籍中。代表としてもW杯に向けて活躍が期待されている。

■最終予選「絶好調」の伊東に熱視線

 上位には高額な市場価格のついたメンバーが並ぶが、専門家の間で熱い注目を集めているのが、KRCヘンク(ベルギー)に所属する伊東純也(29)だ。市場価格は9億9千万。

 伊東はこれまでのアジア最終予選で4戦連続となるゴールを決めており、ベルギーのリーグでも6得点をあげて存在感を出している。スポーツライターの栗原正夫氏は伊東の活躍についてこう語る。

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「右サイドから突破してクロスを上げたり、鋭いドリプルから自らゴール前に入っていき、決めることもできる選手。現在所属しているヘンクからはイタリアやイングランドなどのトップリーグに移籍した選手も多く、伊東選手も、有力なチームに移籍する可能性は十分にあります」

 もう一人注目を集めるのが、サンジロワーズ(ベルギー)に所属する三笘薫(24)だ。市場価格は3億3千万円になっている。

 1月に足首を負傷し、前回は代表招集を見送られたが、2月にはクラブチームに復帰。今回、代表にも選出された。緩急がついた独特のステップのドリプルが魅力の選手で、昨年11月に行われたオマーンとの代表戦では後半から登場したものの、ドリブル突破から決勝ゴールをアシストし、存在感を見せた。

 サッカー専門誌「ワールドサッカーマガジン」元編集長でライターの北條聡氏は、三笘をこう評価する。

「オマーン戦では流れを変えるプレーをしました。局面を打開でき、決定的な仕事ができる選手だと見ています。日本のクラブチームにいたときは攻撃的なポジションにいましたが、いまは守備面でも活躍し、評価も高まっている。強いチームには必ず1対1で勝てる選手がおり、そういう選手が日本にも出てきたという感じですね」

■タレント豊富な中盤に旗手の「価値」

 ランキング15位で1億5千万円の価格がつく旗手怜央(24)も大きく期待されている選手の一人だ。

 今冬、川崎フロンターレからスコットランドの名門セルティックに移籍。デビュー戦でマンオブザマッチ(最優秀選手)に選ばれただけでなく、続く2戦目では初ゴールを決めるなど衝撃的なスタートを切った。現在はやや調子を落としているという指摘もあるが、依然として評価は高い。

「フロンターレにいたときには左のサイドバックや右のウイングでもプレーをしており、攻めも守りも高いレベルで出来るオールラウンドな選手。セルティックで実力をつけてきているし、代表選でも中盤で活躍する力は十分にある。今後評価を高めていくのは間違いないでしょう」(北條氏)

 注目選手は枚挙にいとまがないが、今回、代表には招集されなかったものの有力・有望な選手は他にもいる。

 日本人の市場価格で最も高額なのは、アーセナル(イングランド)の冨安健洋(23)で、33億円だった。今季スタートダッシュに失敗した名門アーセナルにシーズン途中から加入すると、スタメンとして実力を発揮してチームの浮上に大きな役割をはたした冨安。日本代表DFとして欠かせない存在だが、現在ケガのため代表から外れたと見られる。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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代表に選出されずも期待の高い選手は誰?