本当の“BIGBOSS”は新庄じゃない？　選手が惚れる「男気」見せた監督たち

　日本ハム・新庄剛志監督が、キャンプ中に行われた阪神との練習試合で、「今日のスタメンは毎日夜間練習をしているメンバー」と陰の努力に報いる粋な選手起用を行い、“人情采配”と話題になった。

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　過去にも、BIGBOSS以上の男気を見せた“人情監督”が数多く存在する。そんな名将たちの感動エピソードを紹介する。

　まさに“男気采配”という言葉がピッタリだったのが、阪神時代の岡田彰布監督だ。

　2年ぶりのリーグ優勝がかかった2005年9月7日、2ゲーム差で追う2位・中日との天王山対決で、3対1とリードした阪神は、勝利目前の9回に久保田智之が野選やエラーなどで同点に追いつかれ、なおも1死二、三塁と一打サヨナラのピンチ。

　この絶体絶命の場面で、就任以来1度もマウンドに行くことがなかった岡田監督が初めてマウンドに足を運び、久保田に言った。「打たれろ。ムチャクチャしたれ。お前の責任やない。オレが責任取る」。

「死球を恐れずに思い切り内角を攻めろ」という真意を理解した久保田は、開き直って剛球をズバズバ投げ込み、見事2者連続空振り三振に切って取った。

　そして、延長11回に「監督から『今日は勝つ』という気持ちが伝わってきた」という中村豊の決勝ソロが飛び出し、4対3で劇勝。9回のピンチでは、本塁クロスプレーのセーフ判定をめぐり、「こんな大事な試合、ジャッジしたから終わりってあるか！」と激しく抗議するなど、指揮官の勝利へのあくなき執念がナインの心を揺さぶり、久保田と中村に無限大の力を与えた形に。敗れた中日・落合博満監督も「監督で負けた」と評した。

　9月29日のV決定直後、岡田監督は「（中日戦で）負けてたら、優勝はなかったかも」と振り返っている。

　チームを去り行く中堅選手に最大級の男気を見せたのが、巨人時代の王貞治監督だ。

　72年の巨人ドラフト1位・中井康之は、投手から外野手転向後の79年から1軍に定着。同年4月11日の阪神戦で球団史上初の初打席初本塁打を記録するなど、貴重なバイプレーヤーとしてチームに貢献した。