例えば、ネットD/Eレシオが「3倍」なら、純有利子負債が純資産の3倍ある状態。「0.5倍」ならば、純有利子負債は純資産の半分というわけです。この数値は低いほど安全で、一般に、2倍を超えると警戒水準とされます(図6参照)。

図6
図6

 この指標のポイントは、負債から現預金を除いた「ネット(純額)」で考えることです。例えば、有利子負債が500億円、純資産が200億円ある場合、有利子負債額は純資産の2.5倍になるため危険な状態のように感じられます。ところがその会社が、現預金を300億円もっている場合、実質的な借金(“純”有利子負債)は200億円(500億-300億)となり、ネットD/Eレシオは1倍と計算されます。つまり、その会社の財務安全性は高いと評価できるのです。

 このようにネットD/Eレシオは、会社の債務返済能力を表す目安のひとつであり、数値が低いほど長期的な借金の返済能力が高く、倒産のリスクが低いことを意味します。

■「資金繰りの安全性」は表の左右のバランスからわかる

 会社の安全性をさらに深く測るには、貸借対照表の「左右」のバランスも大切です。この左右のバランスから、会社の「借金の返済能力」がみえてきます(図7参照)。

図7
図7

 まず確認したいのが、流動負債に対する流動資産の割合です。これを「流動比率」といい、比較的短期の資金繰りの安全性を表します(図8参照)。

図8
図8

 わかりやすく身近な例で考えてみましょう。仮にあなたが100万円を借りていて、来月末が返済期限とします。現金や預貯金、あるいは商品券のように売ればすぐに現金化できるものが十分にあれば安心でしょう。

 しかし、そうでなければ車や家、土地などの財産(資産)を売らなければなりません。とはいえ、家や土地は商品券などと異なり、すぐに売れるとは限りません。

 このようにすぐ(1年以内)に返済義務のある流動負債に対し、1年以内に現金化できる資産(流動資産)がどれだけあるかを表した数値が、流動比率です。

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中長期的な資金繰りの安全性はどう見る?