写真はイメージ(Getty Images)
写真はイメージ(Getty Images)
この記事の写真をすべて見る

 会社の業績が気になる決算シーズンの3月。しかし、決算書は読み方がわからない……そんな人でも“超速”で会社の安全性を確認できる方法を『決算書「分析」超入門2022』(朝日新聞出版)から一部紹介します。

【図でみる】決算書、ここをチェックしよう(全11ページ)

*  *  *

 安全性分析とは、ずばり「会社が今後も事業を継続していけるか」を確かめること。事業が継続できなくなるのは、会社が生存不能になるとき、つまり「倒産」です。安全性分析のキモは、会社がこの倒産のリスクを抱えていないかを読み取ることにあります。

 では、そもそも会社はどんな場合に倒産するのでしょうか。一般的には、「赤字が何年も続くと倒産する」というイメージがあるかもしれません。もちろん、赤字が長く続けば倒産のリスク大ですが、厳密には「資金繰りに行き詰まったとき」に会社は倒産します。

 資金繰りに行き詰まるとは、業績不振などで「借りていたお金を期日までに返せなくなる(債務不履行に陥る)」ことです。手元の資金が枯渇して、「不渡りを出す(手形や小切手の支払いが滞る)」と、すべての金融機関にその事実が通告され、今後の融資が受けにくくなってしまいます。人に例えるなら、出血している重症患者が輸血を受けられないのと同じで、大変危険な状態です。

 そして借入金を期限内に返済できず、返済猶予や追加融資にも応じてもらえなかった場合、会社は債務不履行状態となり、破産を申請することになります。

 では具体的に、決算書のどこをみれば会社の安全性がわかるのでしょうか。今回は、貸借対照表(B/S)を使った分析方法をお伝えします。人間と同じで、健康かどうかを知るには、体の内部をみることが欠かせません。貸借対照表が表わしているのは会社の資産の構成ですが、これは人の体に例えれば、脂肪・筋肉・骨格の状態のこと。これを確認するのが安全性分析の一つなのです。

 先ほど「会社が倒産するのは資金繰りに行き詰まったとき」と説明しましたが、資金繰りに行き詰まる会社の決算書には、最終的に次の2つの異常が現れます。

次のページ
2つの異常は関連している