現役の女子東大生が企画や取材、編集をし、大学構内で配る「biscUiT(ビスケット)」というフリーペーパーがある。2011年に創刊され、発行は年2回。21年秋に出た第22号で「いまこそ考えたい、東大女子率」という特集が組まれた。誌面には、こんな見出しが躍る。
「あなたの居心地の良さは、誰かの居心地の悪さの上に成り立っているのかもしれない」
21年11月時点で、東大の学部学生のうち、女子の占める割合は19.8%。東大は20年までに女子学生の比率を「30%以上とする」方針を打ち出していた。今年の入試では全合格者に占める女子の割合は20.8%だったものの、一般選抜合格者の女子比率は19.8%で、「2割の壁」を越えられていない。
「東大女子率」特集号で、現役東大生を対象にしたオンラインアンケートの結果が載っている。
女子が少ない環境について「居心地が良い・悪い、あるいは有利・不利だと感じたことはありますか?」という質問に対し、「居心地が悪いと思ったことがある」と答えた男子学生は34人(全回答者は96人)だったのに対し、女子学生は74人(同108人)で男性の2倍超だった。
この号で編集長を務めたのは法学部に在籍する河紐羅(はゆら)さん(21)。河さんは「アンケートの回答者はジェンダーに問題意識を持つ層に偏っており、決して東大生の平均を示すわけではありません」と前置きしつつ、特集や見出しの意図をこう語る。
「女子率の低さは東大生の間でもよく話題になりますが、『本質的にどう変えるべきなのか』という議論が少ないように感じていました。この問題についてなぜ東大生が考えなければならないのか、何よりもまず当事者に意識してもらいたいと思いました」
このアンケートでは、「居心地の悪さ」の具体的な中身について、女子学生たちからこんな声が寄せられている。
「授業やゼミ、サークルで周囲が男子ばかりで居心地が悪く、発言もしづらい」