大泉学園駅のロータリーにあるメーテルと鉄郎の銅像(松本零士/零時社・東映アニメーション)
大泉学園駅のロータリーにあるメーテルと鉄郎の銅像(松本零士/零時社・東映アニメーション)

 主題歌は映画のラストシーンで「さらば銀河鉄道999、さらばメーテル、さらば少年の日よ」という、松本零士さんが書いたモノローグと重なり流れます。漫画家を夢見て、18歳で故郷の小倉から夜行列車で上京した松本さんの、旅立ちの記憶が刻まれたフレーズでもありました。

 映画は大ヒット。公開初日には東京都心の映画館を早朝から長蛇の列が取り囲み、初回を繰り上げて上映したほどの人気を集めました。アニメやSF映画のファンに加え、鉄道マニアも惹きつけたことがヒットの要因とも言われました。

 大ヒットにも関わらず、なぜか続編は制作されていません。清水顧問は「この作品を超える映画は作れないと考えたから」と話します。「映画も主題歌も大傑作。当時CG(コンピューター・グラフィックス)を使わずにあの映像を作ったのは我々の誇りなんです」。

 でも関係者の間には、何かのきっかけがあれば続編を作りたいという思いは今もあるようです。「ネットフリックスやアマゾンプライムが1クール分作ってくれるという条件なら挑戦できるかな。作品は時代が作るもの。地球温暖化や米中対立など現代の課題を、宇宙のファンタジーに組み込むような新作を松本零士さんが書いてくれれば」と清水さんはニッコリ。

■EXILEカバーでスタンダード化、日本の「Hey Jude」に

 主題歌はEXILEが2008年にカバー、テレビCMで使われたことで人気が再燃し、スタンダード曲の仲間入りを果たしました。「一気に『ガンダーラ』を抜いて僕らの最大のヒット曲となりました。今やコンサートではアンコールの定番です。日本の『ヘイ・ジュード』(ビ―トルズ)ですか?そんな風に言われるようになったら嬉しいなあ」とタケカワさんは顔をほころばせます。

 駅の発車メロディーとしては2009年から西武池袋線・大泉学園駅で、2016年からJR山陽新幹線の新神戸、岡山、広島、小倉、博多の5つの駅で流れています。いずれもこの曲が鉄道にゆかりがあり、広く知られる「旅立ちのメロディー」であるということが採用の理由ですが、大泉学園駅は、実は東映アニメーション、大泉スタジオの最寄り駅、そして同駅のメロディーは何とタケカワさん制作のオリジナルです。

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