「銀河鉄道999」は1979年に公開され、ゴダイゴによる同名の主題歌とともに大ヒットしたアニメ映画です。謎の美女メーテルと少年・星野鉄郎が永遠の命を求めて宇宙を鉄道でめぐる物語で、主題歌は2008年、EXILEがカバーしたことで人気が再燃しました。
4月8日からは東京でミュージカル公演が予定され、鉄郎を中川晃教さん、メーテルを花總まりさんが演じ、ゴダイゴのリーダー、ミッキー吉野さんが音楽監督を務めます。もちろんこの曲も印象的な場面で使われる予定です。駅の発車メロディーとしては西武池袋線の大泉学園駅、山陽新幹線の新神戸~博多間の5駅で流れています。誕生のきっかけは1979年の映画化の際、制作元の東映動画(現東映アニメーション)のプロデューサーが当時、大人気だったゴダイゴに惚れ込み、主題歌に起用したことでした。
■1970年代の「宇宙映画ブーム」、“日本版アニメ”の制作を
「銀河鉄道999」は、松本零士さんによる原作が1977年から1981年まで週刊漫画誌「少年キング」に連載されました。「999」とは「1000になると完成した大人、だから999は青春の終わりだ」と松本さんは著書「松本零士 創作ノート」(KKベストセラーズ、2013)で書いています。機械伯爵に母を殺された鉄郎が、永遠の命を求め、機械の体を得ようと、母そっくりの謎の美女メーテルと一緒に宇宙へ旅立つ物語で、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」の「星めぐり」をも思わせます。すぐ人気に火が付き、1978年から1981年までは、フジテレビで東映動画(現東映アニメーション)が制作したアニメ版が放送されました。
続いて東映動画による映画版の企画が持ち上がります。当時は「未知との遭遇」「スターウォーズ」など米国の実写版のSF大作映画が続々と公開されていました。こうした「宇宙ブーム」を受け、東映動画には「まだアニメの地位が映画界では低い時代で、社内は『新しい作品を作ろう』という高揚感に溢れていました」と、当時を知る東映アニメーション顧問の清水慎治さんは振り返ります。