ステージ終了後、かれんさんは笑顔で言った。
「今日は直接みなさんとお会いすることができ、同じステージに立って同じ空気を吸えて、うれしかったです。お客さんもいてくれたので、温かい空気を感じました」
実は、リトグリは一昨年のこの音楽祭にもゲストとして出演する予定だった。しかし、コロナ禍で音楽祭は中止に。昨年は、新型コロナ感染防止のため高校生が事前収録した合唱にリトグリが東京都内で行ったライブを重ねてネットで配信する、無観客での開催となった。そして今年、3年越しで高校生たちと同じステージに立った。
アサヒさんも喜びを語った。
「生徒のみなさんの強烈なハーモニーを背中に浴びながら、歌声を届けることができました。この場所でしかつくれない音楽があったと思います」
高校生たちも、さまざまな思いでこの日を迎えた。
「恩返しのために歌いたい」
本番前にこう話したのは、先の伊藤さんだ。
「震災から長い時間をかけて復興して、今は『元気になったよ』と聴いてくれる方に届けたいと思っています。全国のみなさんからもすごく支援をしてもらったので、その恩返しのためにも歌いたいです」
(編集部・野村昌二)
※AERA 2022年4月11日号より抜粋