ライブ盤に収められた歓声、DJのトークと一瞬の間。紹介した11曲全体が平和への祈りになった。歌は人々自らが口ずさむから強くなる。命や愛を大事にする歌を流す。ラジオの役割はそこだ。「戦争をやめさせるための音楽」は夜11時からの放送になった。一連のニュースを見終わった後。そこには当然ウクライナ関連の映像も含まれる。
「ヒトラーがドイツで行った行為は全て合法的だった。それを忘れてはならない」。春樹さんはキング牧師の言葉を引用しながら警鐘を鳴らした。
「最近は力を中央に集約した権威主義みたいなシステムに心を惹かれる人が多いようです。効率的かもしれないけどそのぶんとても危険なことです。十分気をつけてください」
僕は恵比寿のロックバーを貸し切り、スタッフで聴いた。番組が終わると誰ともなく「ラブ&ピース」と言葉を発し、午前零時の時報を迎えた。
延江浩(のぶえ・ひろし)/1958年、東京都生まれ。慶大卒。TFM「村上RADIO」ゼネラルプロデューサー。小説現代新人賞、アジア太平洋放送連合賞ドキュメンタリー部門グランプリ、日本放送文化大賞グランプリ、ギャラクシー大賞など受賞。新刊「松本隆 言葉の教室」(マガジンハウス)が好評発売中
※週刊朝日 2022年4月15日号