筆者はヤクルト広報時代の杉村さんに大変お世話になった。人柄の良さそのままに何でも気軽に相談できる人だった。

 何かの事情で取材を受けられないときでも、きちんと筋道立てて、こちらが納得するまで丁寧に理由を説明してくれた。

 野球とは直接関係のない人気ミュージシャンの特集記事を担当し、「愛聴している選手を紹介してほしい」という面倒な話を持っていったときも、杉村さんは嫌な顔ひとつせず、「じゃあ、クリ、いきましょう」と外野手の栗山英樹を呼んでくれた。実際話を聞いてみると、マニアックな曲まで知っていて、まさにドンピシャリの人選。「野球以外のことも含めて、選手を本当によく見ているんだな」と感心させられた。

 おそらく、コーチになっても、持ち前の気さくさで選手の良き相談役を務めるとともに、日ごろから選手をよく観察し、適切な助言ができるのだと推察される。

 高校時代、巨人・原辰徳監督とともに“東の原、西の杉村”と並び称された強打の三塁手同士のライバル対決は、お互い指導者の立場になった現在も続いている。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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