新小学1年生の学校生活がスタートした。保護者がわが子の成長ぶりに喜びを感じる一方、心配なのは交通事故だ。小学生の歩行中の交通事故は身近な生活道路での飛び出しによるもの多く、車が速度を出していれば、重大事故につながりかねない。そこで、警察が生活道路や通学路での速度抑制に活用しているのが「可搬式」の“オービス”だ。速度違反取り締まりの現場を取材した。
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昨年、東京都内で起こった子どもの交通事故1421件のうち、小学生は865件、60.9%を占める。そのうち歩行中の交通事故で最も多いのは小学校低学年で、53%は小学1、2年生である。
小学校に入学すると、登下校や友だちとの外遊びなど、子どもだけで行動することが増える。一方、道路を走る車に対する認識がまだ十分でないため、飛び出しを原因とする交通事故が起こりやすい。
子どもの交通事故を道路別に見ると、国道2%、都道17.5%、区市町村道74.7%。つまり、事故のほとんどが身近な生活道路で起きている。
仮に飛び出しによる出合い頭の交通事故が起こったとしても、車の速度が低ければ被害者が死亡にいたるケースはぐっと減る。車の速度が30キロ以下と、それを越える場合を比較すると、死亡事故確率は約5倍の開きがある。
低速度帯の生活道路や通学路で速度違反取り締まりを行い、交通事故防止に活用されているのが、いわゆる“オービス”(速度違反取り締まり装置)の可搬式タイプだ。
オービスといえば、ふつう高速道路などで目にする「固定式」を思い浮かべるが、「可搬式」は文字通り、持ち運びができるタイプで、写真のように三脚に据えて使用する。「可搬式オービス」は2016年に埼玉、岐阜県警で試験運用が始まり、以後、全国警察に配備された。
■見通しがいいから速度を落とさない
4月7日、東京・江東区古石場で行われた速度違反取り締まりの現場を取材した。近隣の小学校の入学式の翌日で、新1年生が子どもたちだけで初登校する日だった。