illustration 小迎裕美子
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 コロナ禍での生活も丸2年が過ぎ、これまで家にいる時間が短かった男性も在宅勤務が定着しつつある。夫婦間の家事分担はどう変化したのか。AERA2022年4月18日号の記事を紹介する。

【マンガで見る】コロナ禍で「家事分担問題」はどう変化した?

>>【前編】「昼食作りは週2.5回、買い物は夫担当 コロナ禍の家事分担見直し夫婦の最適解は…」より続く

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 ニッセイ基礎研究所では「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」を実施。20年6月の第1回と、21年12月の第7回を比較すると、興味深い点が見えてくる。

 夫婦共働きで、高校生以下の子どもがいて、コロナ前よりも労働時間が長くなった人を対象に分析すると、第1回の調査では、育児にかける時間が増えた女性が37.5%、男性は19.4%。ところが第7回では女性43.2%、男性32.1%。男女間で10%の開きはあるものの、差が縮んでいる。また、第7回では、育児にかける時間が減ったと答えた女性が10.8%、男性1.9%だった。

「育児にかける時間が減った女性が11%近くもいるのは注目すべき。コロナ禍が2年近くになり、男性も家事に目が行くようになり、家事に参加する生活に落ち着いてきた。男性一人一人の家事にかける時間が増加傾向にあるのではなく、ものすごくやる男性が増えているという印象。今後ますます家庭ごとに、家事のバランスが最もいい形に落ち着いていくのでは」

 ただ、家事の「スタートライン」が違う夫婦も少なくない。ほとんどの家事をすべて妻がやっていたとしても、夫がゴミ出しをするようになれば、夫は「家事の時間が増えた」となり、妻は「今までやってくれていなかったことをやってくれるようになった」とうれしくなる。

「男女で負担の程度が同じかは別。夫婦の満足度が高まることは大切ですが、日本におけるジェンダーバランスを考えると、現状で満足していてはいけないなと思います」(ニッセイ基礎研究所保険研究部准主任研究員・村松容子さん)

illustration 小迎裕美子
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夫について山梨の村へ

 終活カウンセラーの数田陽子さん(48)は20年12月、フランス人の夫と東京・広尾から山梨県忍野(おしの)村へ移住した。移住のきっかけは、仕事をリタイアした夫に、忍野村でパイプオルガン製造のアトリエを経営する知人から「よかったら手伝ってくれないか」との声がかかったことだった。

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