数田さんはフリーランスで、もともとオフィスに出勤しなくてもいい環境だったが、コロナ以降は仕事のほぼすべてがオンラインになっていた。
「移住しても仕事に支障が出ない上、東京にいてもコロナで鬱々(うつうつ)とする。それなら彼について忍野村へ行くか、と。コロナがなければ『東京の方が便利なのに』と反対していただろうし、移住するとしても渋々だった」

移住で家事増えて協力
東京23区内のマンション暮らしから富士山のふもとでの一軒家暮らしへ。生活は一変した。
東京時代は、朝・昼は適当に済ませ、夜は外食。近所にコンビニがあり、足りないものがあれば深夜でも買えた。1LDKなので掃除をするスペースはそれほどない。家事は数田さんが担当していたが、「妻がやって当たり前」というタイプの夫ではないこともあり、負担に感じたことは一度もなかった。
一方、忍野村では、自宅近くに飲食店はなく、自炊が基本。車生活なので気ままに飲みにも行けない。買い物は週末にまとめてスーパーで。薪ストーブを使っているので薪割りもする。一軒家となると、掃除も大変だ。さらに移住後に犬も飼い始めた。
「狩猟犬の保護団体から引き受けた33キロの大型犬です。散歩が必要だし、犬の毛が抜けるので掃除は必須です」(数田さん)
食事作りは主に数田さん、時々夫。朝晩の犬の散歩は運動を兼ねて数田さん。掃除、洗濯、庭掃除、薪割りは夫。買い物は2人で。移住後、家事の分担は5対5となった。
「東京にいた時よりやることが増えて、互いに協力してやっていかないと回っていかない。でもね、犬もいて、毎日が楽しいです」(同)
あなたの夫婦間の家事分担は最適解ですか?(ライター・羽根田真智)
※AERA 2022年4月18日号より抜粋