太田百香さん (撮影/写真映像部・加藤夏子)
太田百香さん (撮影/写真映像部・加藤夏子)
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 現役学生から公募したモデルが、受験時のエピソードや勉強法を明かす特別企画。第1回は、東大文II2年太田百香さん(和歌山・開智高校卒)が、偏差値35から合格を果たすまでを語ってくれた。

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 理系科目が苦手だった太田さんは、問題集の表紙がボロボロになるほど繰り返して勉強した。

「同じ問題集や『青チャート』の例題を、10周も20周も繰り返したんです。わからなかったり間違ったりしたら、ノートには、『悔しい』『慣れてよ』と、そのときに感じた気持ちを書きました。それが復習のときに役に立ったと思います」

 ノートの表紙には「味の素」創設者・鈴木三郎助さんの言葉<人よりもほんの少し多くの苦労、人よりもほんの少し多くの努力で、その結果は大きく違ってくる>を記していた。

「いつもこの言葉を見ることで、自分を奮い立たせ、勇気づけました」

 自身を鼓舞し続けたのには、理由があった。

 中学3年の東京旅行で赤門を見て東大に憧れるようになったが、

「私の学力はまったく足りていませんでした。中学受験前に受けた模試の偏差値は35でしたから」

 中3生対象の東大模試を受けてみたが、結果は散々。高校に進んでも成績は伸びなかった。

 しかし応援してくれる人が現れた。最も苦手な科目、数学の先生に東大への憧れを打ち明けたところ、「絶対に行ける」と演習の添削をしてくれるようになったのだ。

「数学は、単元ごとに独立して考えないようにしました。たとえばベクトルの問題を解くには、三角関数の知識や図形の考えが求められます。単元の関連性を意識した勉強法をしたことがよかったと思います。これを科目間にも広げて、英単語の語源が世界史のあの出来事に関係しているんだというように繋(つな)げると、好奇心がわき、面白いと思いながら学習できました」

 当初は太田さんの東大志望を冷ややかに受け止める人もいたが、彼女のひたむきさを知り、周囲が力を貸してくれるようになっていった。

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