米・ハーバード大学とジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(28)。現在はコンサートなどの音楽活動を行いながら、日本の大学でグローバル人材を育成するための授業も受け持っている。廣津留さんの頭の中を探るべく、どんなふうに音楽や勉強とかかわってきたのかを語ってもらうAERA dot.連載。第6回は、ハーバードの学習環境について。
* * *
アメリカを代表する大学都市、マサチューセッツ州ボストン近郊にあるハーバード。大分の県立高校から進学した廣津留さんにとって、その環境は驚くほど充実したものだった。
「ハーバードのあるケンブリッジや対岸のボストンは、街全体がひとつの大きな学校みたいな場所。必要なものがすべて徒歩圏内にそろっていました。キャンパス内には世界有数の蔵書数を誇るワイドナー図書館がありますし、24時間いつでも利用できる図書館や食堂も充実し、練習用の音楽室に美術館や劇場、ジムやスカッシュのコートもある。キャンパスも広々としていて、方向音痴の私は迷わないように気をつけないといけないくらいでした。
寮はキャンパス内で、多くの授業が行われる建物群のすぐ近くにありました。勉強するにも生活するにも、移動に時間がかからないので、すごく効率的なんです。2年生以降に住んでいた寮は3年生のときにリノベーションされて、ロビーはホテルみたいにきれいでした。一方で、食堂の建物は伝統を引き継いだままで、歴史を感じられる。高校時代との違いに最初は驚きましたが、あまりにも居心地がいいので、ホームシックにかかることもなく、すぐに馴染んでしまいましたね。ただ、パーティーをする場所などはもっぱら学内。もしニューヨークにあるコロンビア大学などに進学していたら遊べる場所がたくさんあるので、誘惑に負けないようにするのが大変だったと思います(笑)」
勉強に集中できるハーバードの環境。そうしたなか、当時はユニークな習慣があったという。