岡田有希子さんへのメッセージカードが添えられた供花/撮影・高鍬真之
岡田有希子さんへのメッセージカードが添えられた供花/撮影・高鍬真之

「彼女が亡くなった時、僕はオーストラリアの大学の学生でした。登校できなくなるくらいショックで、それを癒やすために日本の大学に編入して、サンミュージックに入社したんです。人気アイドルの要素を全て持っていたユッコは、今でも私の憧れの女性です」

 デビュー時からのファンという男性(57)は、

「一番輝いていた86年で時間が止まっているんです。僕らは年齢を重ねてそれぞれの人生を歩んでいますが、ユッコは18歳のかれんでピュアなアイドルのまま。だから素直な気持ちで今も応援できるし、心の中で生き続けてる理由だと思います」。

 岡田さんのパネルを少し離れた場所から見つめていた50代の女性は、かつてファンクラブの運営に関わっていたといい、最近命日に現場を訪れるファンについて、

「彼女を直接知らない若い世代のファンが増えてきたというのが最近の特徴ですね。全体の3分の1以上にはなったというのが実感です。純粋に彼女や楽曲が好きなのではなく、“悲劇のヒロイン”であることに興味を持って来てる人も多く、5、6年前までとは雰囲気が変わったように思います」と話す。

 兵庫県姫路市から夜行バスで来たという2人組はいずれも36歳。当然、岡田さんをリアルタイムで見ていた世代ではないが、岡田さんの魅力についてこう語った。

「ファン歴はまだ2年ほどですが、80年代アイドルならダントツでユッコ。デビュー曲の『ファースト・デイト』はもちろん好きですけど、亡くなられた翌月の5月14日に発売予定だった最後のシングル『花のイマージュ』が一番好き」

「5枚目のシングル『Summer Beach』とか、生前最後の曲『くちびるNetwork』などは、今ブームのシティポップ風で歌詞もいい。聴けば聴くほど心に染みるんです」

 このように岡田さんのファンは、50~60代からリアルを知らない世代までと層は厚く、広い。

 4月8日の正午くらいには、現場に集まったファンの数は、少なくとも200人を超えていた。

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墓参は欠かさない、デビュー年が同じ荻野目洋子さん