1980年代に人気を博し、18歳で命を絶ったアイドル岡田有希子さん。今年も4月8日、36回目の命日を迎えた。現場となった都内のビルの前や、故郷の墓前には、今年も多くのファンが足を運び、“ユッコ”を偲(しの)んだ。
4月8日、午前11時半過ぎ。東京都新宿区の新宿御苑にほど近いビルの前に行くと、歩道の植え込みに岡田有希子さんの写真やポスターなどが並べられ、花を手向けるファンが多くいた。
1986年のこの日、岡田さんは、所属する事務所のビル(当時)の屋上から飛び降り、18歳の短い命を絶った。熱心なファンはこの日を、本名・佐藤佳代の「佳」と、桜が満開の時期であることにちなみ、「佳桜忌」(けいおうき)と呼んで偲んでいる。
現場で歩行者の誘導をしていたのは、岡田さんをテーマにした作品を持つ現代アート作家の弓指寛治さん(36)。
「ここは公共の場所なので、近隣の方や通行人に迷惑をかけるわけにはいきません。以前、集まったファンの数が多くて110番通報され、警官が規制に来たそうです。もし、再びそのようなことが起きて集まれなくなったら、ファンはもちろん、何よりも岡田さんが悲しむんじゃないでしょうか。それで2019年から自主的に1人で始めたんです」
以前は元親衛隊やユッコフレンズと称されるファンのグループが、命日に合わせて集まったり、オフ会を開いたりしていた。年忌法要の最後として執り行う三十三回忌の16年でピリオドを打ったが、その後も現場を訪れる人は尽きない。
「追悼したい方は来られるでしょうし、『佳桜忌』は無くせるものではありません。だったら僕が『交通整理』をやろう、って思ったのがきっかけで続けています」
しばらくすると岡田さんが所属していたサンミュージックの関係者も喪服で来た。
千葉県松戸市の会社員の男性(55)は、
「10年ちょい前から毎年来ています。今日は有給休暇を取りました」と話し、 岡田さんが亡くなった時のことを振り返る。