その後も大手メーカーのCMタイアップ曲に恵まれ、スマッシュヒットを連発。86年1月にリリースした8枚目のシングル「くちびるNetwork(ネットワーク)」(作詞・Seiko=松田聖子、作曲・坂本龍一)も沢口靖子さんをイメージキャラクターにした化粧品のCMソングに起用され、待望のオリコン1位を獲得するヒットとなった。

 高校在学中にすでに「売れっ子」になった岡田さん。岡田さんの日記や母親の手記などがまとめられた本「愛をください」によると、3月3日に高校を卒業し、全国ツアーがスタートする前日の4月4日から一人暮らしを始めた。

 さらなる活躍が期待された時だった。だが、その4日後、岡田さんは帰らぬ人となった。

 当日、現場からワイドショー「3時のあなた」(フジテレビ系)の中継リポートをした東海林のり子さん(87)はこう振り返る。

「人気絶頂のアイドル歌手でしたから、あまりにも衝撃的でした。

“ユッコシンドローム”と言われるほど若い世代の後追い自殺がおきて、国会でも取り上げられる社会問題となりました」

 忘れられないのが、数ヶ月後、直前まで下宿していた相澤社長宅を取材した時のことだ。岡田さんの部屋が、ファンのために開放されていたという。

「奥様が在宅されている時は、いつでも応対されていました。部屋にはノートがあって、自由にコメントも残せるんです。それが何冊も何冊もありました。ファンのためでもあり、ご自身が悲しみを忘れるためでもあったのかもしれません。それだけ、相澤夫妻は我が子のように可愛がってらっしゃったんだと思います」(東海林さん)

 突然の死から36年--。岡田さんを思うファンは多い。彼女が今も愛される理由はどこにあるのだろうか?

 4月8日に新宿の現場に訪れたオーストラリア出身の元サンミュージックの社員、リチャード・ノースコットさん(56)=現在は都内のIT企業の社長=はこう言う。

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「聴けば聴くほど心に染みるんです」リアルを知らない世代も