その日、現地メディアは、「ダルビッシュ、ジャイアンツに倒される」(『CBSニュース』)や「ダルビッシュはジャイアンツに破壊された」(『ファンタジー・プロス』)などと報じている。これらの見出しだけでも、ダルビッシュの乱調がどれほど衝撃的だったのかよくわかるだろう。しかし、試合前の予想をみれば、その深刻さがさらにわかるはずだ。米スポーツ・ブックメーカーを見ると、ジャイアンツ戦では、パドレスの勝利予想が圧倒的に多かった。例えば、『ヤード・バーカー』では、パドレスが約0.5倍、ジャイアンツが約2.75倍であった。その理由について、同記事には次のように書かれていた。

「ダルビッシュは開幕戦で6回ノーヒットノーランという輝かしいスタートを切った。私は彼が火曜日(12日)のジャイアンツ戦でも同じ投球をみせると予想する」

 他のメディアでも好投を期待するコメントが目立った。

「ダルビッシュは火曜日の試合もうまくいくはずだ。ダルビッシュは2021年4月に防御率2.13記録するなど、ここ数年はシーズン序盤から好調なので、次回も質の高いスタートが期待できる」(『クラッチ・ポイント』)

 このように、ダルビッシュが最短でKOされるとは誰も予想していなかった。まさに悪夢のような結果であった。それから中4日で迎えた18日のブレーブス戦。前の結果からダルビッシュを心配する声は絶えず、それはオッズ予想の数字にも表れていた。『クラッチ・ポイント』では、ブレーブスが約0.5倍、パドレスが約2.6倍と前のジャイアンツ戦とは真逆の予想になっていた。ブレーブスが前年の覇者であることも大きいが、やはりダルビッシュの乱調が懸念となったようだ。しかし、記事ではダルビッシュについて次のように述べられていた。

「前の登板は恐ろしい内容であったが、打たれたヒット(8本)のうちホームランは1本のみ。これは彼に復活の兆しがあるとも言える。ダルビッシュは2021年7月にブレーブスと対戦している。この時は5回2/3を投げて4安打2失点という成績であった。ただ、唯一本塁打を許したフレディ・フリーマン(現ドジャース)はもうチームにはいない。今のダルビッシュが当時のブレーブス戦を再現できれば、その投球が改善する可能性は大いにある」

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