夏休みの代名詞であり、最大の関門ともいえるのが自由研究だ。「親のレベルがわかる」とまで言われるが、親はどうかかわるといいのか。AERA2022年8月1日号の記事を紹介する。

「自由研究で親のレベルがわかる」とも言われるほど、多くの親たちが手伝う自由研究。子どもの達成感を邪魔しないことが肝心だ(撮影/写真映像部・東川哲也)
「自由研究で親のレベルがわかる」とも言われるほど、多くの親たちが手伝う自由研究。子どもの達成感を邪魔しないことが肝心だ(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 ある年の夏休み明け。息子の小学校の教室前に展示された自由研究を見て帰宅した夫が放った一言が忘れられない。

「いろいろな意味で、異彩を放っていたよ」

 あぁ、やはり……。当時小学4年生だった筆者の息子の研究テーマは「米国における人種問題について」。人種問題を扱った映画に関心を持ち、時代背景を熱心に研究していたが、本人以上にのめり込んでいたのは他ならぬ筆者だった。「他の子とかぶらないだろう」とこのテーマを推奨し、関連本を買い、展示の際に来場者の目に留まるよう、表紙の見せ方まで提案した。手を焼きすぎた、と我に返ったのは、提出後。これじゃあ、まるで親の自由研究ではないか。

 夏休みの代名詞であり、最大の関門ともいえる自由研究。「自由」なだけに、同級生たちの作品のレベルも気になり、気づけば親が当事者になっているというパターンは少なくない。親はどこまでかかわるべきなのか。

■親は適度にかかわる

「最も悩むのは、テーマ決めです」と話すのは、小学3年と5歳の保育園児の2人の子どもを育てる40代の女性だ。

「やりたいことがパッと見つかるときはいい。でも『こんなのはどう?』と提案しても気乗りしない様子だと、親もイライラしてしまい、イライラする自分にまた嫌になってしまうんです」

 それでも昨年の夏、家族で小笠原諸島を訪れたことがテーマ探しの突破口になった。小学2年だった息子は海でシーグラスを拾い集めるうちに、プラスチックごみが多いことに気づいた。幼い頃から石や枝を拾い集めることが好きだったから、プラスチックごみを拾うことは苦ではない。持ち帰り、分類し、紙に貼りつけ、それらが生態系に及ぼす影響について研究してみてはどうか、と促してみた。「モノがある」ことで、息子も前向きになったように感じたという。ときに、「こんなふうに書いたら?」と提案しながら、二人三脚で進めていった。女性は言う。

「親は手を出さないことこそが、子どもが主体的になるコツだと思っていました。けれど、それよりも親が適度に関わることで、子どもが『できた』と思えることの方が大切だと気づきました」

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