本来ダイニングの場所にあった黒くて大きいソファ。通りにくい/ビフォー
本来ダイニングの場所にあった黒くて大きいソファ。通りにくい/ビフォー
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 5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。

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case.22  手は動かさないけど口は出す家族への対処法

夫+子ども2人/事務

「とにかく家族の仲が悪かったです。上の子はお父さんを嫌いだと言うし、父親も息子にきつく言うことが多くて。私も嫌だと思って、離婚が頭をよぎることもあったんです」

 片づけ前を振り返るこずえさんは、夫の実家の会社に勤め、息子2人と夫の4人暮らし。もともと片づけは好きではなく、性格はおおざっぱで男っぽい、と言います。整理収納やインテリアのプロを頼ってきれいにするけど、すぐリバウンド。そんなことが20年近く続きました。

 小さい頃は、友達を家に呼んでいた上の子も、ほかと比べ自分の家は汚いと気づいてからは「こんな家に友達を呼べない」と言うように。

 大学進学を控えた受験生になると、勉強がうまくいかないのは環境のせいだと言って、けんかになることもしばしば。リビングには出てこず、部屋にこもりがちに。こずえさんは自分を責めました。

 こんなに汚い家から息子を送り出していいのだろうか?

 ふと思ったのは、上の子が高校3年生の夏でした。家族関係も本当は修復したい。上の子が県外への進学を志望し、離れていく現実が近づいた年明け、プロジェクトに参加したのです。

 結果的に上の子は、家を出る直前の2月ごろからリビングにくるようになりました。

 こずえさんが十数年ぶりにキッチンから見たのは、息子と夫がリビングで取っ組み合いをするさまでした。男子たちが仲良くじゃれあっている。離婚を考えるほど追い詰められていたこずえさんが、本当は一番見たかった風景があったのです。

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絶対に見返してやる…