この幹部によれば、アプローチは「効果てきめん」。会談後には政権への接近に拍車がかかり、トリガー条項を巡る自民、公明、国民民主の3党協議を開始。国民民主は野党でありながら、2022年度予算案に賛成する異例の対応に踏み切った。自民党幹部が語る。

「一時、『大宏池会構想』がやたら報道され、岸田さんや麻生さんは党内に敵を作るのは得策ではないと少し抑えている。『宏池会ホールディングス』のような緩やかな連立でいいんじゃないかと。玉木氏は宏池会出身の大平正芳元首相の遠い縁戚で、『後継者』を自任していますから、ホールディングスの一員になってもおかしくありません」

 玉木氏の「変節」を目の当たりにした立憲民主党と共産党からは、「国民民主はもはや与党」として、野党共闘の枠組みから事実上排除しようという声も聞こえてくる。だが、岸田首相を支える自民幹部は「国民民主にはもう2枚、踏み絵を踏んでもらう」と話す。

「22年度補正予算案の賛成と、通常国会の会期終盤に野党が内閣不信任決議案を出してくれば、与党と共に否決してもらう。ここまでやってくれれば、かつて民間労組が支援した旧民社党との『自公民路線』の復活だ。参院選後は3党連立もあり得る」

◆労組切り崩して盤石な政権基盤

 この幹部は、こうした路線は「岸田首相の方針」であると強調する。既に玉木氏らには、閣僚ポストの話も内々に持ちかけられているという。

 ただ、たとえ3党連立を組んでも、国民民主の議席数は衆院で11、参院は今回が前回並みの5議席なら計10議席。連立に加わらない議員も出ると予測され、それほど大きな勢力にはならない。

 それでも岸田首相が国民民主の取り込みに力を入れるのは、参院選での勝利を確実にするため、勝敗の行方に直結する32ある1人区での野党共闘にくさびを打ち込みたいと考えているからだ。

 過去2回の選挙で、自民は参院1人区でいずれも20勝以上をしているが、野党共闘の効果もあり10選挙区以上で敗北している。今回の選挙で取りこぼす選挙区を5程度に抑えられれば、定数124議席(非改選を合わせ248議席)のうち、「自民党単独で60議席は獲得できる」(別の自民党幹部)との計算も成り立つ。

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