今季のリズムダンス『Soran Bushi ＆Koto』は、村元・高橋にしか滑れない斬新なプログラムだった。ソーラン節という和の音楽とヒップホップをかけ合わせる新鮮なスタイルを、彼らならではのスタイリッシュな滑りで唯一無二の演技に仕上げている。一方、昨季から継続したフリーダンス『ラ・バヤデール』は、バレエの世界を氷上に描き出すプログラム。リズムダンスとは対照的な正統派のクラシックを滑り切り、幅広い表現力を印象付けた。

　世界のトップクラスにいるチームと比較しても見劣りしない存在感を持つ村元・高橋には、来季以降の活躍にも期待がかかる。組んでからの時間が長いほど増していく一体感については途上にある二人だからこそ、その上昇曲線はこれからも続く予感に満ちている。

　世界選手権・フリー後のミックスゾーンで、「この2年間突っ走ってきたので、少し気持ちにバケーションをあげて、その後しっかり考えていきたいなと思います」と語った高橋だが、続いて発した言葉は来季以降への視線を感じさせるものだった。

「今後についても、この世界選手権の経験は、僕たちの未来やお互いの未来につながる世界選手権だったんじゃないかなと」

　村元と高橋が、さらに広がる未来を描き続けてくれることを願いたい。（文・沢田聡子）

●沢田聡子／1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。シンクロナイズドスイミング、アイスホッケー、フィギュアスケート、ヨガ等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。「SATOKO’s arena」

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