結婚の記者会見をする小室圭さんと眞子さん=2021年10月26日、東京都内のホテル(代表撮影)
結婚の記者会見をする小室圭さんと眞子さん=2021年10月26日、東京都内のホテル(代表撮影)

 小室圭さんの2度目の米・ニューヨーク州の弁護士試験は不合格、眞子さんは美術館で働き始めた。好きな相手との結婚や共働きは女性なら普通のことと捉えられる社会の中でバッシングがあふれるのはなぜか。AERA2022年4月25日号の記事を紹介する。

【写真】米国に向け出発する小室圭さん、眞子さん

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 ネットの世界では眞子さんを「普通の女性」と見てくれない。元皇族の眞子さんの夫だから、圭さんをバッシングする。それらの投稿を読んでいくと、キーワードが見えてくる。税金だ。マンションの家賃、警備にかかる費用などなどに、使われているという主張が並ぶ。「だから批判されても当然」という認識がセットになっている。

 と、ここで少し違う話を。宮内庁の西村泰彦長官が14日の定例記者会見で、「文藝春秋5月特別号」(8日発売)の記事について遺憾を表明したという(4月15日、読売新聞オンライン)。上皇陛下と皇后雅子さまの関係に関する記事で、長官は「上皇陛下への礼を失する」と述べ、編集部は「記事には自信を持っている」としたと、書かれていた。

 思うに、上皇さま美智子さま関連の記事について、宮内庁は俊敏だ。同庁ホームページに「皇室関連報道について」というコーナーがあって、07年以来、「この記事は、事実と違う」と説明するのが主な役割だが、上皇ご夫妻に関するものが多い。

 眞子さんの結婚問題についてを見ても、「美智子さまがこう述べたなどの記事があったが、そのような事実はない」旨を3回指摘している。が、小室さんとその母についての記述が「事実と違う」としたことは、一度もない。

「叩いてよし」の空気

 秋篠宮さまは昨年11月の記者会見で、「深く人を傷つけるような言葉というのは、雑誌であれネットであれ私としては許容できるものではありません」と述べた。反論の基準づくりにも言及した。が、具体的な動きは見えず、今では「秋篠宮家は叩いてよし」が世の空気になっている。「小室夫妻への税金」も、もはや「使われている」がデフォルトだ。

 本当にそうか。正解はわからない。なぜって、誰も説明していないのだ。当事者、それは財務省なのか外務省なのか宮内庁なのか、どこも説明していない。「皇室を離れた人だから、説明の必要はない」ということだろうが、それでいいのだろうか。

 眞子さんは、皇族だったから、「小室眞子さん」になっても放っておいてもらえないのだ。ならば、やはり、宮内庁の出番ではないだろうか。元プリンセスを守ることは、皇室を守ること。警備の必要性を語れば、納得する人も出るだろう。甘い見立てかもしれないが、納得は説明からしか生まれない。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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