
続いて2016年に寂庵で瀬戸内寂聴さんと会った歌手・加藤登紀子さんは「ここ(お別れの会)でお会いできてうれしい気持ちでいっぱい。それに会場で寂聴さんの映像や声が流れているとなんだかわくわくします。そして、懐かしく思います」と話し始めた。
「『美は乱調にあり』『諧調は偽りなり』は自分の生涯のバイブルです。文庫本で読んでいますとお話ししたら、じゃあね、差し上げるわと、初版の単行本にサインを入れてくださいました。今、私の宝物です」
そして最後の最後までわくわくする気持ちを持ち続けた寂聴さんのように生きたいと言い、こう結んだ。
「今日、寂聴さんに巡り合えたことを大きな力にして、この日からまた歩いて生きたいと思います。ずっと見守ってください」
寂聴さんにいつも悩みを聞いてもらい相談してきたという南果歩さんは「訃報を聞いても海外にいたこともあったし、先生は死ぬはずないと思っていました」と話した。
昨年の寂聴さんの99歳の誕生日に電話で話したのが、最後の会話になった。「100歳でアイドルになれるのは先生だけ」と話を振ると、ケラケラ笑って、「そうね。それも悪くないわね。100歳でアイドルになるわ」と答えたという。寂聴さんを平塚らいてうの「原始、女性は太陽であった」を地で行く人だと感じていたという南さん。「私にとって永遠のアイドルです」と寂しそうに話した。
会には当日、出席がかなわなかった梅沢富美男さん、市川海老蔵さん、池上彰さん、EXILE ATSUSHIさん、AKIRAさん、美輪明宏さんからは動画のコメントが寄せられた。
梅沢富美男さんは「『あなたと一緒にフランスに行きたい』と話されたことが思い出され、いつか、次の世界で一緒にフランスに行きましょう」と話した。市川海老蔵さんは「源氏物語」の思い出を話し、ジャーナリストの池上彰さんは瀬戸内寂聴さんから質問攻めにあった思い出を語った。EXILE ATSUSHIさん、AKIRAさんは、「ここ過ぎて 白秋と三人の妻」の映画化の際の楽しい思い出を語り、そして、美輪明宏さんは50年ほど前、雑誌のインタビューで初めて出会った当時を振り返り、「そちらの世界で懐かしい人たちと会っていることと思う」と寂聴さんに話しかけた。