日本の大学の学部生のうち、男性はおよそ54%。対して東大は約80%が男性だ。なぜ東大では「女子学生2割」の壁を超えられないのか。『大学ランキング2023』(朝日新聞出版)では、その内側で改革を進める第一人者に話を聞いた。
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19.7%。2021年、東京大の学部生に占める女子学生の割合だ。教員に占める女性教員比率(*)は18.5%。とくに学部女子学生の割合は、この10年ほどで18%台から19%台に微増しているものの20%に達したことはなく、「2割の壁」と呼ばれている。
そんな状況を変えるべく、21年4月、総長の代替わりに併せ執行部を刷新。8人の理事のうち過半数の5人を女性として再スタートした。「ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(包摂)」を基本理念の一つに掲げ、女性、性的マイノリティー、障がい者、外国人といった多様な人々が居心地よく過ごせるキャンパスづくりをめざす。
ダイバーシティ、国際担当の理事・副学長に就任した林香里教授は、学内の女性比率について危機感を募らせる。
「日本の男女人口比は半々なのに、東京大の中は社会と全く違う男女比になっています。これは非常におかしなことで、変わらなければならないと強く感じています。めざす女性学生比率はまずは3割、最終的には5割です」
■2割を超えない一番の理由「将来の展望、描きにくい」
世界大学ランキング上位の大学に目を向ければ、ハーバード大、ケンブリッジ大、北京大、シンガポール国立大、ソウル大などの男女比は、ほぼ5:5。日本はジェンダーバランスの確保に後れを取っている。林教授はこう指摘する。
「学生の大多数は男性ですが、その中でも東京からの進学者の割合が増えていますし、特定の進学校出身者の割合も大きいです。そのため学生の価値観が単一になりがちなのです。これは、多角的に物事を見て新しいものを創造していくという学問の本来の在り方とは逆行していると言えます。こうした中で革新的な学びを推進できるのか、懸念しています」