土井教授は、容疑者のものとされるツイッターに書かれた「何故かこの社会は最も愛される必要のある脱落者は最も愛されないようにできている」という言葉にも、強い印象を受けたという。
「私は、ある種の諦観(ていかん)ととらえました。現実を『変えていけるかもしれない』という希望が少なからず持てた時代から、いまはその希望がなかなか持てない時代になっている。加えて、政治家を筆頭に異論を封じ、封じられ、互いを認めづらい社会になっている。異論を封じる側も封じられる側も、自分に自信がなく、不安と共に生きざるをえない。そのため、異論の持ち主を認めるだけの心の余裕がないのです。そこに広がる諦観を、よく表した言葉だと思います」
(編集部・小長光哲郎)
※AERA 2022年8月1日号より抜粋