長年にわたりNHKラジオのビジネス英語講座を担当し、英語学習者から絶大な支持を受ける杉田敏さん。そんな英語学習の「賢人」が語る、語彙学習の神髄とは? 『AERA English2022』(朝日新聞出版)で聞きました。
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中学の授業から数えれば、英語との付き合いは60年以上。仕事でもプライベートでも長年使ってきた言語ではありますが、言葉というものはどんどん進化しますから、知識のアップデートは常に心がけています。
特に語彙に関しては、継続的な努力が必要です。日本人大卒者の平均的な英語の語彙数が6千語ほどなのに対し、ネイティブは3万語の語彙を使うといわれています。相手の話を正確に理解し、自分の気持ちを年齢や立場に合った言葉で表現したいならば、最低でも8千語から1万語の語彙は身につけるべきでしょう。
私の場合は、ニューヨーク・タイムズなどの英字新聞を読んだり、スポーツジムでランニングをしながら海外のニュース番組を見たりすることが、日々の習慣になっています。最新の時事英語に触れられる新聞やニュース番組は、ビジネスパーソンの語彙学習に最適の素材ですが、中学生のテスト勉強のように片っ端から暗記するのは非効率。大人の語彙学習では、一生使わないかもしれない単語に労力を費やさず、「自分にとって重要な単語」を集中的に覚えるべきです。自分にとって重要な単語とは、例えば仕事で使う単語や、新聞記事やニュース番組で頻繁に見聞きするけれども意味を知らない単語。そういう単語を中心に覚えていけば、仕事でも雑談でもすぐに役立つし、そもそも興味のある単語は頭に入りやすいものです。
■詩の「背景」を知り言葉の深層に触れる
今の時代、インターネット上にはさまざまな動画があるので、英語学習にもどんどん活用しましょう。私が最近気に入っているのは、Amazon Prime Video の「Modern Love」というドラマ。ニューヨーク・タイムズの人気コラムに寄せられた体験談を元にした1話完結のドラマで、セリフの端々からもアメリカ、特にニューヨークのような大都市で働く人々の生活や心情が臨場感たっぷりに伝わってくるんです。問題は一度見始めると止まらなくなること。シーズン2があることも知ってはいるんですが、今は仕事が忙しいので、あえて見ないようにしています(笑)。