脳卒中の一つで発症すると致命的になる「くも膜下出血」は、脳動脈瘤(りゅう)とよばれる血管の瘤(こぶ)の破裂が原因となる。その破裂を予防したり、あるいは破裂した瘤の再破裂を防いだりするする治療が脳動脈瘤治療だ。週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査を実施し、回答結果をもとい手術数の多い病院のランキングを掲載している。今回調査した2020年の実績は新型コロナウイルス感染症が蔓延している年で多くの病院が治療数を減らす中、福岡脳神経外科病院(福岡市)は脳動脈瘤治療数を前年比142%と増やした。その理由について、理事長の風川清医師に聞いた。
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福岡脳神経外科病院は脳動脈瘤治療の治療数ランキングで、2019年の全国13位(治療数156件)から2020年の全国6位(治療数221件)へと順位を上げ、治療数も65件増やした。同院は2017年に開院したばかりの病院で、年々大きく治療数を伸ばしている。
「コロナについては、他の病院と同様にマイナス面の影響を受けたのは事実です。ただし、当院は脳外科の単科病院という性格上、脳疾患で入院している患者さんが、コロナに感染することは命に関わりますので、コロナの検査をして陽性だった場合は、他の総合病院を紹介してそちらで対応していただくことにしていました」
そう話す風川医師は、同院がコロナ禍でも治療を増やした理由についてこう続ける。
「コロナのタイミングで治療数が増えたのは事実ですが、コロナとの因果関係はあまりないと思います。確かに『東京の大学病院で手術の延期を言われたので当院でやってほしい』というようなケースもありました。しかしコロナの影響で他院が対応できずに脳卒中の患者さんが送られてきたというようなことは、1~2%程度に過ぎません。たまたま2019年ころから当院は脳血管内治療のフローダイバーターという治療が増え、それがコロナ禍のタイミングと重なったことが大きな要因だと思います」