4回目接種の効果はまだデータが限られている。ほとんどが、世界に先駆けて3回目接種を始め、昨年末からは4回目接種も始めたイスラエルからの報告だ。イスラエルの4回目接種の対象は、60歳以上の人に加え、18歳以上で重症化リスクの高い人、医療従事者らだ。
ワイツマン科学研究所などの研究チームは、保健省のデータベースに登録されている60歳以上の約125万人のデータを分析し、今年4月、米医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」で発表した。4回目接種をした人は、3回接種の人に比べ、重症化を防ぐ効果が接種後36~42日目には4.3倍高かった。これは、ワクチンの重症化予防効果約77%に相当する。
一方、感染を防ぐ効果は、接種後22~28日目には2倍高かった(ワクチンの感染予防効果約50%に相当)が、接種後50~56日目には1.1倍(同約9%)に低下した。
同じ研究チームによる、専門家による評価の終わっていない論文によると、4回目接種から2カ月後でも、重症化を防ぐ効果は3回接種の人の約3倍に保たれていた。
60歳未満の人に対する4回目接種の効果は、基礎疾患のある人も含めてまだデータがない。
副反応については、4回目接種がすでに始まった国から3回目と異なるような副反応が起きたという報告は、これまでのところない。
イスラエルのシェバ医療センターなどの研究チームは、4回目接種を受けた医療従事者の副反応を米医学誌に報告した。60歳より上の人に限ると、4回目にファイザー社製ワクチンを打った人(79人)のうち接種部位の痛みや腫れなど局所的な副反応が起きた人は約70%、モデルナ社製(47人)では約81%いた。また、発熱や倦怠感など全身の副反応が起きた人は、ファイザー社製で約35%、モデルナ社製で約53%だった。
■60歳以上は努力義務
厚生労働省の研究班によると、3回目接種としてファイザー社製ワクチンを打った医療従事者のうち60歳以上の人219人では、接種部位に痛みのあった人は9割、全身の倦怠感を感じた人は5割以上いた。モデルナ社製を打った60歳以上の44人では、接種部位に痛みのあった人が9割以上、全身の倦怠感を感じた人が6割近くいた。
単純な比較はできないが、4回目接種後の一般的な副反応は、3回目接種の後より多いことはなさそうだ。ただし、もっと大勢が4回目接種を打てば、若い男性の心筋炎などのように、非常にまれな副反応が出てくる可能性はある。