18日、ウクライナはドネツ川に架かる橋を爆破してロシア軍の侵攻を止めた。ウクライナ内務省が公開
18日、ウクライナはドネツ川に架かる橋を爆破してロシア軍の侵攻を止めた。ウクライナ内務省が公開

トルコを締め上げたプーチン

 それは、シリア内戦での出来事だった。

アサド政権を支援するロシアはシリアの反政府勢力に対して空爆を行った。15年11月、トルコの戦闘機が領空侵犯をしたとしてロシアの爆撃機を撃墜する事件が起こった。プーチン大統領はトルコに対して怒りを爆発させた。

「この一件でロシアとトルコの関係はとても悪くなりました。双方が経済制裁を発動し、ロシアはトルコと敵対するシリアのクルド民族主義組織(PYD)への支援を開始しました」

 エルドアン政権はPYDを、武装テロリスト集団と見なすトルコ国内のクルディスタン労働者党(PKK)と同一視している。

「この撃墜事件の際、表に出なかったロシアの圧力もいろいろあったのではないでしょうか。トルコはエネルギー資源に乏しく、天然ガスの多くをロシアに頼っています。原発の開発支援も受けている。そういった分野でもプーチン大統領の圧力があった可能性が高いです」

 トルコと仲の良い旧ソ連の構成国などが動いてプーチン大統領とエルドアン大統領の間を取り持った。両国の関係改善に動き始めたのは、爆撃機撃墜事件から半年ほど経ってからだ。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

※記事後編<<ウクライナ侵攻下で存在感をアピールするトルコ大統領 北欧2国のNATO加盟「反対」の三つの事情>>に続く