「中国、香港の人たちに次いで存在感が大きかったのがロシア人です。パンドラ文書だけで42人のロシア人富豪の名前があり、彼らの財産はロシアの国内総生産(GDP)の15%に相当するそうです。彼らの狙いは税逃れのためというより、匿名性を盾に何らかの経済制裁を回避することでしょう。西側の国々はもちろん、自分の国の政府も信用できないから、それら政府の手の届く場所に財産を置いておけないということだと思います」
面従腹背のオリガルヒの本音も徐々に漏れ聞こえてきた。英タイムズ紙が5月14日に伝えた内容では、3月中旬、プーチン氏に近いオリガルヒの男性が、今回の侵攻でプーチン氏がロシア経済を完全に破壊したと非難。「我々は全員、プーチンの死を願っている」と西側投資家に話したという。
ウクライナ軍の善戦は、プーチン帝国の内部崩壊につながるのか。春名氏はこう予測する。
「オリガルヒだけでは影響力が少ないですが、その豊富な資産が軍や治安機関出身のシロビキ、経済制裁に不満を持つ市民などの反プーチン勢力と結びつけば、クーデターや暴動といった大きな波になる可能性はあります」
(本誌・佐賀旭)
※週刊朝日 2022年6月3日号