■「いい病院」ムックが行う独自調査とは
入江:私からも質問したいのですが、「いい病院」ムックではあれだけたくさんのデータを、どのようにまとめられているのでしょうか?
編集長:全国約4千の病院に調査用紙を配布して、回答してもらった結果を集計し、作成しています。2022年版では治療法ごとに29種類の調査用紙を送っていますが、送ったからといってすぐに回答してもらえるわけではなく、各病院に催促しています。また、届いた回答が間違っていないかの問い合わせをすることもあり、約5カ月の調査を経てようやくできあがるのです。
入江:病院のホームページのデータを拾っているわけではないのですね。
編集長:ホームページの手術数は定義や基準がばらばらです。病院によっては簡単な手術も含めて数が多くなっているような場合もあり、それでは平等に評価できません。ムックでは治療法ごとに同じ基準で病院を比較できるようにしています。
また、公表されているデータだけだと読者の知りたいことに十分、答えられないので、調査項目は編集部で考えています。その内容については、専門の医師に取材をしながら調査項目を毎年、少しずつ更新しています。
病院だけでなく医師名を載せている点も特徴です。読者からは、「主治医の先生の名前があって安心した」という声も多くいただいています。
■かかりつけ医が紹介状を書いてくれない、その理由
編集長:では事前にいただいた質問にいくつか答えていただきたいと思います。まず、「かかりつけ医からの紹介先は系列病院のみになるのでしょうか。面識のない医師に紹介状を書くのはかなり抵抗がありますか?」というものです。
入江:私が開業している新横浜は系列病院から少し遠いこともあり、患者さんが地理的に通院しやすい病院を選ぶことが多いです。一方、系列病院に紹介する場合は医師の人柄をよく知っており、どのような治療をするかが想像できるので、医師を指名して紹介状を書きます。なお、面識のない医師に紹介状を書くことにまったく抵抗はありません。これはおそらく、ほかの開業の先生も同じだと思います。
編集長:次に、「かかりつけ医がなかなか紹介状を書いてくれない時、どうコミュニケーションを取れば、円滑に大病院で検査を受けることができるでしょうか?」という質問です。
入江:それはおそらく、いまは病院にかかる必要がない、と主治医が考えているからだと思います。当院でもある患者さんが健康診断で婦人科の腫瘍マーカーが異常値を示したということで、「有名ながんの専門病院に紹介してほしい」と来院されました。詳しい検査をしましたが異常はなく、腫瘍マーカーの偽陽性と考えられ、患者さんも納得しました。もちろん、患者さんが納得できない場合はほかの開業医に紹介する方法、選定療養費(紹介状なしに200床以上の病院を受診した場合に、保険適用の初診料とは別に負担する療養費)を支払って、希望する病院を受診される方法もあると思います。