「解法パターンを思い出すため、同じ参考書を解き直しました。そのうえで過去問に挑戦。間違ったら、必ず納得できるまで理解に努めました」
ちゃんと納得するまで理解してから次に進むことが大切。大学入学後に始めた中学生の個別指導塾のアルバイトでも、生徒にそう教えている。
「おとなしい子はわからないことがあっても、聞かずにスルーします。『わかった?』と聞いても『はい』と答えるだけなので、『モヤモヤするところある?』と聞き方を工夫しています」
受験生はただでさえ心理的に圧迫される。ましてや友だちと直接会って話したり、気軽に外出するのもはばかられるコロナ禍。吉原さんのストレスを和らげてくれたのは、飼っていた愛犬とご褒美に姉が買ってきてくれたチョコレートだった。
「ずっと犬を膝にだっこしながら勉強しました。癒やされましたね」
そして家族への感謝の思いがモチベーションを高めてくれた。
「つらい1年間を支え続けてくれたので、合格して恩返しをしようと思いました。それで頑張れたんだと感じています」
(取材・文/本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2022年6月3日号