■知識や向上心は「ケタ違い」自負

 菅原さんがおススメするご当地スーパーの一つ、八ケ岳のふもとに店を構える「ひまわり市場」(山梨県北杜市)は、地元のみならず全国にファンが多い。店には新鮮な魚介や地元産の野菜から、肉や総菜、酒、菓子、調味料まで、それぞれの部門を任された専門家がこだわりを持って選び抜いた商品が所狭しと並ぶ。

ひまわり市場の外観
ひまわり市場の外観

 名物の総菜「歴史的メンチカツ」を売る毎週土日の昼と夕の時間帯は、東京や関西のほか、広島や鹿児島など全国から客が集まり、最大500人の行列ができる。この1店舗だけで年10億円を稼ぐという。那波(なわ)秀和社長(53)は言う。

「うちのウリは入り口から出口まで、圧倒的な商品ばかりである点。各部門の担当者は、商品に関する知識も、仕事に対する情熱や向上心も、ケタ違いだと思っています」

 青果は野菜ソムリエの元八百屋経営者、酒類はワイナリーに長年勤めたスペシャリスト、菓子はパティシエ経験者が担当する。総菜づくりは、すし店や中華料理店で腕をふるっていた職人らが手がける。

 こうした各部門の目利きに、仕入れから価格の設定、販売、売り上げの管理まで一切を任せるという。

「信頼しているから、ほとんど放任主義。でも頑張ってくれたら、そのぶん給料も高くします。任されれば、やりがいも出るし、仕事もおもしろくなるでしょう。店にも活気が出て、お客さんだって買い物が楽しくなると思います。お客さんを喜ばせられるようなプロを見つけてくるのが私の大事な仕事」(那波社長)

 売り場は、担当者の思いがこもったPOPであふれる。どれもクセのある文面だが、紹介された商品はつい手に取ってみたくなる。

 ただ、店が順調に売り上げを伸ばすようになったのは、ここ数年のことだという。前の経営者から声をかけられ、那波社長が店長としてやってきた20年前は売り上げも低迷し、店にも活気がなかった。

店内の個性的なPOP
店内の個性的なPOP

 那波社長はこう振り返る。

「やる気のある少数派は意見も通らないし、仲間からも冷たくされる。そのままではダメだと思い、社内で徹底的に話し合い、意見をぶつけ合いました。すると、私の思いが通じなかった人は徐々に辞めていった。売り上げが上向きに転じたのは、やる気のある従業員が半分を超えたころ。やはり結局は人なんだと実感しましたね」

「日本一の店づくり」をめざす思いに共感した専門家集団が、全国からおいしい食べ物や客を呼び寄せる。最後に那波社長はこう呼びかけた。

「これからの季節は八ケ岳周辺で採れた野菜がおススメ。このあたりは意識の高い農家が多く、モノが違います。ウィンナーやロースハムも一本一本、こだわって作られています。ぜひ召し上がってみてください」

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