原子力規制委の山中伸介委員長
原子力規制委の山中伸介委員長

 このことは、原子力資料情報室が規制庁で昨年8月に作成された内部資料を入手し、12月21日に公表したことで明らかになった。資料によると、規制庁の職員は7~9月、経産省の担当者と少なくとも7回にわたり面談し、法改正の検討を始めていた。いずれも委員長に報告されず、面談記録も作成されなかった。1回目の面談は、政府のGX実行会議が開催された翌日の7月28日。資料には<経産省が検討中>の項目として、<「運転できる期間」に制限なし><延長する回数に制限なし>とも記されている。松久保氏がこう指摘する。

「分離したはずの推進と規制が一体化していると言えます。山中委員長が問題意識を持っていないことが大きな問題です。規制庁をガバナンスできているのでしょうか。規制委に事前の面談も含めた検討資料の情報公開請求をしましたが、『10月5日以前に検討した経緯がないから、資料はない』と言われました。問題がないなら、そんなウソをつく必要はない。彼らも後ろめたいことだとわかっているのです」

 問題発覚を受け、規制委の山中伸介委員長は記者会見で「制度を検討する上での準備だと思う。最終的には委員会で議論して意思決定するので、職員同士で意見交換することは問題ない」と説明したが、規制委と経産省の“ズブズブ”な関係性は明白だ。たとえば今回、運転期間の規定が、規制委の所管する炉規法から、経産省が所管する電気事業法に移され、国会では経産省が法案を提出する。

「もともと規制の法律なのに、経産委員会で議論することになる。それ自体、無体な話です。原子力基本法などと『束ね法案』で一括審議しようとしているので、個別に丁寧な議論をする機会も奪われます」(松久保氏)

 かつて原発の安全を管理し規制する立場にあったのは、経産省の一部局である原子力安全・保安院だった。原発事故をきっかけに保安院は廃止され、12年に現在の原子力規制委が設置された。その道筋をつくったのは、東日本大震災当時、首相を務めていた菅直人衆院議員だ。菅氏がこう語る。

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