しかし、塾などの習い事で忙しかったり、放課後に校庭が解放されていない学校で遊び場がなかったりと、週に1回でも外で過ごすことが難しい家庭もあるかもしれない。

「そのような場合は、治療という選択肢もあります」

 こういうのは近視抑制治療に詳しい筑波大の平岡孝浩准教授だ。平岡医師によると、最新注目されている近視抑制の治療法があるという。

「これらの治療には、視力がいくつの子が治療を受けるべきといった規定はありませんが、近視を持つ子、つまり、目が悪くなってきたと感じる子どもは治療の対象になります。また、親が熱心でも子ども本人にその気がなければ治療は上手くいきません。本人および保護者の希望がある方が対象となります」(平岡医師)

 1つは目薬による治療だ。「低濃度アトロピン点眼」と呼ばれる薬で、毎日就寝前に継続して使用することで、近視の進行を抑えることができるという。使用開始年齢に特に制限はない。シンガポールの研究では2年間で近視の進行を約60%抑制したという。日本ではまだ医薬品として承認されていないが、京都府立医科大や筑波大など7大学が参加する研究グループで臨床試験が行われている。数年後には承認される見込みだという。

 価格は、自由診療のため、各クリニックで異なる。編集部で調べたところ、あるクリニックでは検査・診断・薬代(一か月分)で7500円(税別)となっていた。別のクリニックでは5千円というところもあり、価格には幅があるようだ。

 2つ目は、「オルソケラトロジー」と呼ばれるハードコンタクトによる治療だ。レンズが緩いカーブ状になっており、それを目につけて角膜を平らに変形させることで、近視を矯正する仕組みになっている。角膜は一度形を変えると一定時間(8~36時間程度)は持続するため、就寝時に装着し、起床後に外して過ごすことができる。こちらも親が使用を管理できるため、使用開始年齢に制限はない。

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日本で最新治療が広まらない事情とは