2つ目は上司を含む職場内の人間関係の構築です。これをすることによって、あなたが担当する仕事がスムーズに進みます。逆にこれを怠ると、「俺はこの件を聞いていないぞ」などと言われ、仮に相手に悪意がないとしても無駄な作業が生じたり、時間が余計にかかったりしてしまいます。
3つ目は、長時間労働が生じていることや人員の増加が必要であること、作業を効率化するための電子・ペーパーレス化などを人事課や総務課などに提案することです。これは個人が提案するより人数を集めたほうが効果的なので、職場の仲間にも相談して連携して声をあげましょう。職場に労働組合があるのなら、そのような場を通じて声をあげるやり方もあるでしょう。私は内閣府に勤めていた頃は、省庁横断の若手官僚の会「新しい霞ヶ関を創る若手の会(プロジェクトK)」の仲間とともに職場環境の改善提案を行いました。
■「その人を変えられる」と思わないこと
ワンマン社長やパワハラ上司に悩んだ経験がある方は多いと思います。本書は、人間関係をサバイバルすることを推奨していますが、心身がすでに限界の状態にある方に、無理してでも頑張れというつもりはありません。限界の状態になる前に、まずは医療機関を受診されることをおすすめします。
そして、原因となっている相手を「変えられる」と思わないことが大切です。こちらがあいさつをしても返してこないような相手に変わってほしいと思うから、腹を立てたり嫌な気持ちになったりするのです。「この人はこういう人なのだ」と受け入れること、その人と距離を置いてできるだけ関わらないようにすること(仕事上の最小限の付き合いに止めること)が大事です。
「その人を変える」より、自分の考え方や対応方法を変えることの方が有効ですので、難しい人間関係においても、なんとかやり過ごす術(サバイバル術)を身につけることが大事です。そして、難しい人間関係のサバイバル術を身につければ、新しい環境や転職先においても、活躍できる場面が多くなります。なぜなら、逆説的になりますが、転職理由で職場の人間関係を挙げる人が多いということは、それをサバイバルできる能力を身につけた人は貴重な存在となり、どんな職場でもしなやかに働くことができるからです。