長時間労働が常態化していた過去の自分を振り返ってみても、千正さんのいう通りだと思います。人は、多少残業が多くても、その作業の先にお客さんの笑顔や明るい未来が見えていれば、なんとか頑張っていけます。その逆に、その作業がなんの役に立っているかわからない、あるいは後ろ向きな内容であるとき、人の精神は病んでいきます。それに加えて、パワハラ上司に心ない言葉をぶつけられたり人を人と思わないような扱いをされれば耐えきれずに病んだり壊れたりするのは当たり前です。

 長時間労働を正当化してはいけませんし、それを強いる組織(会社)に問題があることは明らかですが、どうしても今すぐにそれを改善することが難しい場合、組織や上司はその先にあるビジョンを共有したりチームが励まし合うような雰囲気づくりなどを心がけていただきたいと思います。

■長時間労働から身を守る方法

 とはいえ、長時間労働を避けられるならば、避けるに越したことはありません。個人として身を守る方法を身につけた方が良いでしょう。

1 業務を効率化する
2 人間関係を向上させて余計な業務を生じさせない
3 職場改善提案を行う

 ここでは3つの方法に触れます。

 1つ目は業務の効率化です。電子化によるスピードアップなどは誰しも取り組んでいることかと思いますが、その作業のアウトプットの「イメージ」や「完成度」についても吟味すべきです。

 さまざまな観点からの批判やツッコミに耐えられるようによく練ってつくった文章や資料が、発注者の課長に見せたところ、よく見ずにボツにされた。そんな経験があなたにもあるのではないでしょうか?

 これは、発注者が求めるアウトプットの「イメージ」が受注者のあなたの「イメージ」とずれていたのでしょう。また、「イメージ」は一致していたとしても、発注者が求めているのはもっと簡易な資料であって、あなたが労力をそこまで投入して完成度を高める必要はなかったというケースも良くあることです。このようなズレを無くすために、労力を投入する前にアウトプットのラフイメージを持って発注者と打ち合わせをすべきです。そうすれば無駄な作業を減らすことができます。

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「なんとかやり過ごす」スキルが大切