打ちのめされたからといって、自分を全否定することはなかった。「自分に合っているものは何だろう?」と考え、周囲の勧めもありミュージカルの世界に進むことに。
「何か一つ、自分の進む道の上でつまずくことがあれば、すぐ次に行って。またつまずいたら、次を探す。ずっとそうやって歩んできました。妥協もする、目移りもする。ただ、どんな道をいくときも、“音楽”からは離れていないんです」
ミュージカルの道に進むと、今度は、“演じる”ということが、音楽を奏でることと同じぐらい魅力があることに気づいた。
「僕の場合は劇団四季だったので、音楽を剥がされて、演技だけで勝負する場もたくさんいただきました。そこで、言葉の持つ力や戯曲の持つ力を知ったんです。物語の中に描かれる“人間”に対する興味が湧いた。しかも、いざお芝居に向き合ってからミュージカルに帰ると、音楽にもダンスにもお芝居から学んだ人間の感情が生かされることに気づいて。芝居をしながら音楽で感情をつないでいけるミュージカルは、僕にとっての最強のパフォーマンスだと思いました」
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(菊地陽子 構成/長沢明)
※週刊朝日 2022年6月10日号より抜粋