本業であるタレント業に加え、ラジオ番組のパーソナリティー、映画俳優、そしてミュージシャン――。「とんねるず」の木梨憲武さん(60)は、還暦を迎えてもその勢いが衰えることはない。さらに、美術作家としての顔も持つ木梨さん。「木梨憲武展 Timing―瞬間の光り―」の全国美術館ツアーのフィナーレを飾る東京会場での展覧会が始まった。活動の場を広げ続ける木梨さんに、AERAdot.は単独インタビューをおこなった。制作への思いとともに、妻で女優の安田成美さんとの会話、3人の子どもへの木梨家の教育方針と父親としての顔までを、木梨さんのアトリエで話を聞いた。
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都心部ながら住宅街としても知られる瀟洒(しょうしゃ)な街並みの一角。
ビルの細い階段をのぼりアトリエに足を踏み入れると、壁や床に無造作に並べられたキャンバス画とオブジェの作品群が飛び込んでくる。
インタビューをしたのは、展覧会の東京での開催まであと2週間ほどに迫ったタイミングだった。
壁に立てかけられた描きかけのキャンパスや、棚に並ぶカラフルにペイントされた、だるまの一群。これも制作途中の作品なのかと木梨さんにたずねると、
「うーん、だるまは、どこに展示するか迷っているけれどね。置く予定です」
と悩まし気な様子。開催に向けて、レイアウトをぐるぐると思いめぐらせる様子が伝わってくる。
■「じじい」だから健康には気をつかうね
木梨さんが最初に個展を開いたのは1994年。番組のロケをきっかけに絵筆を執った。
相方の石橋貴明さん(60)とともに、とんねるずでの活動を軸にテレビや映画俳優、さらには音楽アルバムまでヒットさせる異才ぶり。第一線で活躍しながら、同時に30年近く絵やオブジェなどアート作品の制作を続けている。
今年3月に還暦を迎えた木梨さんは、こう笑う。
「いやもうじじいだから。昔と違って細かい作品をつくるのは、だめだね」
八面六臂(はちめんろっぴ)の活躍をする木梨さんの朝は、とにかく早い。